電波の届かない場所に

電波の届かない場所に・イメージ

「電波の届かない場所にいるか、携帯電話の電源が入っていない為、つなぐ事ができません」明後日、もう一度彼女のアパートに行って見よう。何か見落とした事が有るかもしれない。

――『理想の探偵像』――

天気は相変わらずで、朝からどんよりとした熱い雲が空を覆っている。普通の日本人はこんな天気を『曇り』と言う。そしてその空を見た俺も『仲介手数料‐計算方法に行って探すべきだ』と思った。

ところで俺は探偵の姿について常日頃、思っている事が有る。それは探偵たるもの『常に格好良い姿を皆に見せていなくてはいけない』と言うことだ。どんな映画でも、どんなテレビドラマでも、探偵は必ず主人公で、顔立ちが良く頭の回転が速く、度胸がある。そして、自らのポリシーを持ち行動していて、最後には事件の犯人を探り当てる。つまり男として、格好いい仕事の訳だ。だから探偵をしている俺は、洗濯とか、掃除とか、洗い物だとかは、やらなくて良い筈だ。

そんな生活臭があふれる事をしているなんて、人に知られたら恥もいいとこだ。だが、実際にはそれをしないと自分自身の生活に困ってしまう。そんな訳があって、日曜日は掃除と洗濯の日と決めていた。

バスルームに置いて有る全自動の洗濯機に、自分が着て汚れた下着とか、ワイシャツ、これは本来ならクリーニングに出せば良いものだが金が勿体ない、それから靴下。それらをまとめて入れて、後はボタンを押すだけだ。

ところで洗濯をすれば、その洗濯物が乾いた後、アイロンを掛けないといけない。ところが俺はそのアイロンを持っていない。だから俺のシャツはいつもよれよれだ。それで不都合が有るわけではない、本当にピシッとしたシャツが必要な時には、ちゃんとクリーニングに出している。もっともそんなシャツが必要になった時など、俺の長い探偵経験の間には殆ど無かったが。

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