内容はそのkennjiからの

　内容はそのkennjiからの…今度は紐をたどって日記を開いた。すると日付が五月九日になっていた。彼女が失踪する前日の日付だ。さらさらと何枚かめくるとｋｅｎｎｊｉの名前が何度も出てくる。ただその辺にはありふれた事しか書いていない、手紙に書かれていた日付を開いてみた。

　内容はそのｋｅｎｎｊｉからの手紙が来た事が書いてあった。彼女の気持ちも書いてあって、その男の子が元々憧れていた人物で『どうしたら良いのだろうゆうかは』などと書かれていた。

　ゆっくりとめくっていると、母親が言った就職の事はほとんど書かれていないことに気が付く。その代わりに、二月十四日のページでその男の名前がはっきりと書いてあった。

――『大谷賢治』――

　これが児玉ゆかりさんの彼氏ということだろう。もう少しめくると三月十四日のページで彼がキスをしてくれた。と書かれていて、その後ホテルに行った。とも書かれていた。これでこの彼と娘さんは恋人同士という表現が出来ると思う。

　ところが、その彼の居所や、電話番号が書かれていない。このぐらいの年頃だと携帯電話に記憶させているのだろう。すると残された手掛かりは、携帯電話の記録ぐらいではなかろうか。

　必要な部分の日付などをメモして、その日記は母親に手渡した。「ゆかりさんは自殺などしませんよ。そんな悩みなど何処にも書かれていませんから」

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